第2回ＭＧＡ賞【2021】は、一般社団法人宮崎県建築協会が希求する県民の安全・安心な暮らしの確保や、地球環境の問題、また高度化、多様化する社会ニーズに対応し、これまでに培ってきた技術力やノウハウを活用しながら建築物の健全な発展に寄与したいと考え取り組んだ企画です。
今回この考え方に基づいて、会員企業のさらなる技術力の向上の取り組みの一貫として、社員の皆様が建築業に誇りと自信を持って励んでいただけるよう、 品質、安全共に優れた管理体制のもと施工された建築物を対象に企業、現場担当者を第２回ＭＧＡ賞【2021】として表彰致しました。
今回の表彰をとおして建築の魅力を発信し、県民の皆様方の建築及び建築業とその技術者に対する更なる理解が深まるよう祈念いたします。
【 審 査 経 過 】
① 平成31年1月～令和4年7月までに宮崎県内で完成した建築物を対象
② 締め切りの令和4年9月末までに、13件の応募がありました。
③ 提出資料は、施工概要・図面・写真・建築コンセプト及び施工中 留意した事項・施主、設計者のコメント等です。
④ 審査は、令和4年10月17日から令和5年2月2日まで、応募要項のとおり外部審査員3名と当協会の審査員2名の5名にて審査いたしました。
施工物件の建築物の品質はもちろんのこと、施工に当たっての工夫や段取りの状況、安全・環境への配慮、施工の難易度とそれを克服するための施工計画の良否などを勘案し審査を実施しました。
一次・二次・三次審査を行い、令和5年2月2日に 最優秀賞1名・優秀賞2名・奨励賞3名を審査員一致で決定しました。
そののち、令和5年3月23日の理事会にて審査結果を報告し審査結果をご承認いただきました。
第２回MGA賞【２０２１】受賞者６名
《最優秀賞》
株式会社 坂 下 組 平 野 清 文 殿
( 研究研修施設 Ｍ．ＲｅＴ宮崎 新 築 工 事 )
【講評】
本作品は、全国の医療従事者を対象とした人工透析装置のメンテナンストレーニング及び医療機器や要素技術の研究・検証を行う拠点となる施設です。曲面の鋼板屋根が美しく仕上がっており、建物内部の天井にも曲面がふんだんに採用されていますので、屋根と建具や外壁、天井と電気・空調設備との納まりには高度な施工精度が求められたことと思います。「宮崎にまた来たい」と思わせるデザインを求めた発注者の要望に、BIMソフトを活用した三次元の情報共有で応えながら、版築仕上げを採用したシックなエントランスや外構植栽（フェニックス・ブーゲンビリア等）を配置するなど、厳しい工期の中でも、リゾート施設のような清潔で非日常感を漂わせる非常に完成度の高い建築物となっています。
《優秀賞》
株式会社 志 多 組 祖 田 省 吾 殿
( 平成31年度五ヶ瀬町役場新庁舎建設工事 )
【講評】
五ヶ瀬町政施行６５周年の節目に落成となられた本庁舎は、この地域の気候風土や文化にまで深く配慮して計画され、地域の皆さんの自慢であり町のシンボルとして大変優れた建物であると思われます。
建設にあたっては、異種構造の混構造の精度の調整や地元の木材を効果的に使う中で、宮崎ではもっとも厳しくなる冬季の気候を乗り越えながらの施工となった本工事は、大変なご苦労があられたとともに、卓越した施工管理が必要であったことが想像されます。
高い理念を、厳しい施行条件の中で、五ヶ瀬町の記念かつ町民にとっての誇りとなるまでのハイレベルで現実の形にするまでの建設力量は高く評価されるものと考えます。
《優秀賞》
株式会社 西 尾 組 濵 川 正 薦 殿
( 宮崎県ひなもり台県民ふれあいの森オートキャンプ場ひなたキャビン4号棟 )
【講評】
この作品はキャンプ施設の宿泊棟ですが、6寸勾配の立体的な屋根や2ｍの深い軒により木造の美しさを最大限に引き出した建物です。内装も「宮崎の木材」を十分に体験できる仕上げとなっており、吹き抜け部には木材架構が現しにしている所など木造建築物に対するリスペクトを感じました。また、宮崎県開発のＭＬＴ工法を採用し、面材を構造材としそのまま仕上げ材とするなど新たな試みを行っており、実績も少ない工法にて施工する事は豊富な経験と高い技術力が感じられます。さらに、山間部での冬季の施工は品質管理を含め、大変な苦労があったと思います。今後のMLT工法の普及にあたり、モデルケースとしてこの建物の建設技術を多くの建設技術者に繋いで頂くことを期待しております。
《奨励賞》
𠮷 原 建 設 株 式 会 社 小 野 秀 展 殿
(門川町新庁舎建設工事)
【講評】
門川町の小高い丘に新築された門川町役場は、一見クールな外観でありながら、内部は県産の木材をふんだんに且つ効果的に使用された優しさ溢れる庁舎になっています。
無機質な素材と有機質な素材がバランスよく配されて建設された建物は、設計監理者の力量もさながら、建設にあたった施工者の建物に対する理解力と現場施工の管理力が必須となることは想像がつきます。
その様な細部に至る配慮力と技術力は、この庁舎を利用する町民にとっては当然のことながら、建設に関わった技術者や職人さん方にとっても幸運なことであり、高く評価されるものと考えます。
《奨励賞》
株 式 会 社 増 田 工 務 店 野 邊 雄 也 殿
( 南九州スバル宮崎南店建替工事 )
【講評】
本作品は、既存施設で営業を続けながら、国道220号に接道した狭小地において建設と解体を繰り返した建替工事によるショールーム・自動車整備工場です。地中障害物の出現、乗入口変更の調整、国道の占有許可期間(30日)内での新設ショールーム吹き抜け部分の施工など、厳しい施工条件の中、設計者や協力事務所と連携し緻密な工程管理を行い完成に至っています。工事エリアと営業エリアを安全・明確に区分し施工を進めたことは、発注者の高い評価を受けたことと思います。なお、この現場では、新入社員の教育も行っており、「わかりやすく伝える・教える」指導に努められたことは、新入社員の大きな成長、自信につながり、若手技術者育成の模範となるものと考えます。
【BEFORE】 【AFTER】
《奨励賞》
𠮷 原 建 設 株 式 会 社 門 松 隆 二 殿
(宮崎第一信用金庫沖水支店新築工事)
【講評】
この作品の外観写真を見て、まず曲線を取り入れた美しい建物である事を強く感じました。鉄筋コンクリート造でありますが、外壁をガルバリウム鋼板とする事で曲面の造形がさらに強調されています。南側に面した営業室は、曲面のカーテンウォールを採用し明るい空間を演出しており、丁寧な内装仕上げが施工されています。
金融機関として機能的な制限を多く受ける中、地域のシンボルとなる円形の複雑な屋根であるところなど、設計者の意図を理解して図面を高い精度で具現化されており、施工された担当者の優れた技術力が見られました。
